中東と石油のニュース

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチし、その影響を探ります。

五大国際石油企業2016年度業績速報シリーズ(12)

(注)本シリーズは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してごらんいただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0401OilMajor2016.pdf

 

 

IV. 8カ年(2009-2016年)業績推移の比較(続き)

2.利益

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-07.pdf参照)

 2009年から2016年までの5社の利益の推移を見ると、2009年はリーマン・ショックと油価急落の影響を受けた中でExxonMobilが193億ドルの利益を計上、BP(166億ドル)、Shell(125億ドル)、Total(118億ドル)、Chevron(105億ドル)といずれも利益は100億ドル台でひしめき合っていた。

 

 翌年の2010年にはExxonMobil、Shell及びChevronが業績を回復する一方、BPはメキシコ湾原油流出事故により欠損となった。2011年には各社とも好調で業績は右肩上がりに回復、5社の利益はそれぞれExxonMobil(411億ドル)、Shell(308億ドル)、Chevron(269億ドル)、BP(257億ドル)、Total(171億ドル)であった。

 

 ExxonMobilは2012年に前年を上回る449億ドルの利益を計上したが、他の4社は利益下落の兆しが表れた。そして2013年以降は5社すべての利益が減少局面に入り、特に2015年には対前年比で50%以上急減している(詳細はIII.2参照)。2015年の各社の利益はそれぞれExxonMobil(162億ドル)、Total(51億ドル)、Chevron(46億ドル)、Shell(19億ドル)、BP(マイナス65億ドル)であるが、2009年を100として比較するとExxonMobil 84、Chevron 44、Total 43、Shell 15、BP -39となり、ExxonMobil以外は利益が半減、場合によってはマイナスに転落している。2016年も利益の低迷状況は続きExxonMobil及びChevron2社は前年を下回る水準にとどまっている。

 

3.売上高利益率

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-08.pdf参照)

 2009年はExxonMobil, BP, Total及びChevronはいずれも6%台の利益率で拮抗し、Shellのみが4%台の低い水準にとどまっていた。その後2014年まではTotalとExxonMobilが8~10%と他の4社を引き離す高い利益率を維持する一方、ShellとTotalは4~6%の利益率で推移、BPの利益率は毎年大きく変動した。

 

 2015年には各社とも利益率が急落、特にChevronは前年の9.1%から3.3%に落ち、またBPは2010年に続き二度目のマイナスの利益率(-2.9%)を記録した。2016年は各社によって明暗が分かれExxonMobilとChevronが2年続けて利益率が下落(Chevronはマイナスに転落)した一方、その他の3社は利益率が回復している。

 

(続く)

 

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