(英語版)
(アラビア語版)
Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」(7)
第37章 退役将軍「シャイ・ロック」(2)第一次中東戦争(ナクバ)(3/3)
『シャイ・ロック』が物心の付いた9歳の1948年にイスラエルは独立を宣言した。彼はその時父親が自分を抱き上げて体中で喜びを見せたことを今でもよく覚えている。しかしその喜びもつかの間、周辺のアラブ諸国が新生国家イスラエルになだれ込んできた。世に言う第1次中東戦争であり、ユダヤ人達はこれを独立戦争と呼んだ。
天は必死の彼らに味方した。と言うか、欧米列強特に米国がイスラエルを物心両面で強力に支持したのに対し、アラブ側はソ連の助けが無いうえ内部も烏合の衆だったため敗北したと言うのが実情である。当時のソ連は第二次大戦後の自国の再建に手を取られアラブを助けるどころではなかったのである。
「衆寡敵せず」という言葉があるが、中東戦争に関する限り全く逆であり、少数派のイスラエルが圧倒的多数のアラブを敵に回して独立を勝ち取った。アラブ側は完敗し、彼らはこの戦争を「ナクバ(破局)」と名付けた。その後数次にわたる中東戦争でアラブ側はイスラエルに一泡吹かせようとしたが未だ一度も成功していないのである。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)