(世界ランクシリーズ その7 2025年版)
5.2015年~2024年の国防費の推移(続き)
(1)四つの紛争当事国(ロシア、ウクライナ、イスラエル、イラン)の国防費の推移
2022年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発したウクライナ戦争及び一昨年10月のパレスチナ軍事組織ハマスによる入植地テロ事件に対してイスラエルが陸と空からガザ地区を攻撃したガザ戦争は、ウクライナ戦争が膠着状態に陥る一方、ガザ戦争はむしろ中東全域に拡大する気配を示し、共に終息の気配が見られない。
ここではそれぞれの当事国であるロシアとウクライナ、及びイスラエルとイランの4カ国の国防費の推移を検証する。
ロシアの国防費は2015年から2021年まで600億ドル台で推移したが、2022年以降は一挙に1千億ドル台に激増している。ウクライナの場合はさらに大きな変化を示しており、2015年から2021年まで60億ドル以下であった同国の国防費は、2022年には一挙に前年比6倍の412億ドルに急増、2023年には650億ドル近くに増加している。2024年は前年比微減であるが、同年の国防費の歳出に占める割合は54%に達しており(既述)、このことから同国は国防費の捻出が限界に達していると考えられる。因みに武器の輸出入ではウクライナは2021年までは世界有数の輸出国であったが、2022年以降は輸出が激減した一方、輸入は急増している(後述)。
イスラエルとイランについては過去10年間の推移を見ると、イスラエルは2015年の165億ドル以降漸増し、2019年に200億ドルを超え、2023年には275億ドルに達した。そして2024年には前年比1.7倍の465億ドルに急増している。イランの場合は2015年から2018年まで年間100億ドル台であった国防費は2020年に33億ドルまで減少している。しかしそれ以降は再び増加する傾向にあり2024年の国防費は79億ドルであった。
イランの国防費がイスラエルほど急激な増加を示していないのは、イランがレバノンのヒズボッラー、イエメンのフーシ派、イラクの非政府軍事組織など国外の軍事組織を支援していることが、本国の国防費増加に直結していないためと考えられる。しかしイスラエルがヒズボッラー、フーシ派などの勢力を削ぎ、イランを直接攻撃対象としつつあることで、今後イランの国防費が増加することは避けられない。
(続く)
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