第七章 ナタンズ爆撃(1) ハイ・ロー・ハイ作戦(1/2)

サウジアラビアのハファル・アル・バテン基地北方を通過した3機の戦闘機は機首を北東に向けイラク領空を一気に駆け抜けた。眼下にシャトル・アラブ川の湿地帯が見える。いよいよイラン領である。パイロット達に緊張が走る。行く手にザグロス山脈の赤茶けた山塊が立ちはだかる。山脈を越えるとナタンズまでは指呼の間であるが、ナタンズの南方数十キロメートルのイスファハンにはイラン空軍の基地があり、いつスクランブルをかけられるかわからない。
パイロット達は臨戦態勢に入った。イスファハンのモスクのミナレット(尖塔)を視野に入れると3機は高度2万メートルから急下降を開始、天空から真っ逆さまに落下する3本の矢となった。超高空から一気に高度を下げ、目標を爆撃した後、直ちに超高空に戻る「ハイ・ロー・ハイ」作戦の第二段階である。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)