(英語版)
(アラビア語版)
Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」(52)
第53章 悪魔の発明(1)ジルゴの来訪(1/4)

数日後、その男『ドクター・ジルゴ』は『シャイ・ロック』の家に現れた。秘書として彼を応接間に招じ入れたアナットは彼の洗練された着こなしに驚きを隠さなかった。今の彼はエリートそのものにしか見えない。かつてストーカーまがいの行為で妹を追いかけていた『ドクター・ジルゴ』は―その頃はまだドクターではなかったがーヒッピー風の長髪に汚れたT-シャツ、洗いざらしのジーンズを着た青年だった。
ロシア系移民ということで肌が白いことだけが取り柄で、もし彼がアラブ系やアフリカ系であったならアナットはその青年に間違いなく罵声を浴びせていたであろう。その時のアナットは彼の肌の色に免じて彼の妹に対する無礼な行為を諄々とさとしただけであった。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)