(原題) Explainer| Israel’s $35 bln gas deal: A lifeline for Egypt energy supply?
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2025/12/18 Ahram Online

イスラエルのネタニヤフ首相は水曜日(12/17日)、エジプトとの350億ドル規模の天然ガス輸出契約を承認したと発表した。同国史上最大規模の契約である。
米国シェブロン社と、ニューメッド・エナジーなどがオペレーターとして関与するリヴァイアサン油・ガス田のこの契約は、2026年から2040年までの15年間にわたり、エジプトに約1300億立方メートルの天然ガスを供給する予定である。
契約の詳細
契約は総額347億ドルで、内、180億ドルが教育、医療、安全保障のための資金としてイスラエルに直接流入すると見込まれている。ネタニヤフ首相は、ガザ地区の緊張が高まる中、イスラエルの国益を確保するために承認したと述べた。エジプトはまだ公式声明を発表していないが、この合意はエジプトのエネルギー需要に対応するものである。
2019年の合意との相違点
2019年に両者間で締結された予備合意は、イスラエルのガス田からエジプトへ、以前の合意よりも長期間にわたり、少量のガスを輸出する取り決めであった。この合意では、年間供給量は約45億立方メートルと定められていた。
エジプトへの影響[1]
エジプトは慢性的な天然ガス不足に直面しており、1日あたり約50億立方フィート(bcf/d)の生産量に対し、消費量は約62億立方フィートである。夏季のピーク需要を満たすためには、LNGなどの輸入に頼らざるを得ない。
2025年4月には日量34億8500万立方メートルまで生産量が落ち込んだことなどから、LNG輸入量は2025年第2四半期にはそれ以前のほぼゼロの状態から17億5千万立方メートルに増加した。
エジプトの再ガス化能力は、浮体式貯蔵ユニット(FSU)を通じて2025年7月に日量22億5000万立方メートルに達したが、百万英熱量単位(BTU)あたり13.5ドルのコストがかかり、財政を圧迫している。
公式統計によると、イスラエル産ガスは現在、エジプトの1日当たり供給量の10~12%を占めている。350億ドル規模の新たな契約により、2026年には供給量が45億立方フィート/日から65億立方フィート/日に増加し、リヴァイアサン拡張後の2029年には120億立方フィート/日に達する可能性がある。
推計によると、この契約によりエジプトは、LNG輸入量が10億~20億立方メートル削減され、供給圧力が緩和され、エネルギー安全保障が強化される。リヴァイアサン契約は、より安価なパイプラインガスを供給し、国内生産の減少に伴う供給不足に対処することで、2026年以降、エジプトのLNG輸入需要を削減すると期待されている。
天然ガス供給情勢
ワシントンに拠点を置くエネルギー・プラットフォーム傘下の研究機関であるエネルギー・リサーチ・ユニット(ERU)によると、エジプトのガス生産量は2025年9月に前月比で小幅な増加を示している。9月の生産量は、新たなガス田の発見、外国事業者への優遇措置、そして未払い金の定期的な決済に支えられ、8月の40.6億立方フィート/日から41.5億立方フィート/日に増加した。
こうした改善にもかかわらず、総生産量は昨年の水準を下回っており、2025年1月から9月までの平均生産量は41.1億立方フィート/日と、2024年の同時期の49.0億立方フィート/日を下回っている。
エジプトは、電力および産業部門向けの燃料を確保し、特に需要ピーク時の輸入依存度を低減するため、天然ガス生産量を約66億立方フィート/日に拡大することを目指している。この戦略は、2024年と2025年の探査の成功によって強化され、確認済みガス埋蔵量の拡大と複数の既存ガス田の開発加速につながった。
リヴァイアサン協定は、エジプトのエネルギー供給にとって短期的な救済策となる。その長期的な価値は、エジプトが国内生産の増加と需要管理の改善を通じて、一時的な供給をいかに迅速に永続的なエネルギー安全保障へと転換できるかにかかっている。
以上
[1] (転載者注)
エジプトは2010年以前は有力なLNG輸出国であったが、国内需要の増加により2015年には純輸入国に転じた。その後、2020年以降は純輸出国に転じ、2024年には上記のごとく再び純輸入国になっている。一方で輸出外貨を稼ぐため、イスラエルからパイプラインで輸入した天然ガスを国内消費し、国産のガスをLNG化して輸出する政策を推進している。詳しくは下記レポートを参照されたい。
JOGMEC石油・天然ガス資源情報2025/4/1トヨタ耕平氏レポート
「エジプトは東地中海から欧州への「エネルギーハブ」として復活するか?」
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1010309/1010461.html